2022しぶんぎ座流星群 を撮る
- 美濃平野部 -





2022年01月03日23時01分
20mm、ISO800、f2、10秒、Raw、光害カットフィルター + ソフトフォーカスフィルター使用、赤道儀で恒星追尾撮影
α7M4 + FE 20mm F1.8 G
撮影時の放射点高度 1.57°






2022年01月03日23時42分
20mm、ISO1000、f2、10秒、Raw、ソフトフォーカスフィルター使用、赤道儀で恒星追尾撮影
α7M4 + FE 20mm F1.8 G
撮影時の放射点高度 5.45°






2022年01月04日02時14分
20mm、ISO1000、f2、13秒、Raw、ソフトフォーカスフィルター使用、赤道儀で恒星追尾撮影
α7M4 + FE 20mm F1.8 G
撮影時の放射点高度 24.88°






「しぶんぎ座流星群」は年初を飾る流星群である



1922年にIAU(国際天文学連合)が88星座に整理するまでは壁面四分儀座と呼ばれる星座があった。その近くに当群の放射点があるため、星座名がなくなった今日でも「しぶんぎ座流星群」と呼ばれている。
母天体はいくつか候補があるが、周期5.23年で太陽に接近するマックホルツ第1彗星(96P/Machholz 1)が有力視されている。対地速度は41km/sとゆっくりと流れる流星群である。

しぶんぎ群のピークは鋭く、極大時刻から半日程度ズレるだけで出現数は3分の1に減ってしまう。
2022年しぶんぎ群の極大は01月04日06時と推定され、しかも月齢が1と月明かりを気にする必要はなく、最高の条件といってよい。また以前から暦年を4で割って2余る年に活発な出現が見られるとも言われていて、2022年はまさにその年に相当すると期待された。



撮影開始は03日22時34分。撮影終了は04日03時02分。

極大時刻の3時間前に突如一面の雪雲に覆われ、激しい雷鳴と降雪のため撮影継続を断念した。
撮影開始時の放射点高度は-0.57°。ようやく地平線上に上り始めようとするタイミング。
流星群の観察・撮影では、高度30°ぐらいまで放射点が上ると放射点を中心に四方に流星が流れることがわかり、多くの流星を観察できる。この夜、放射点高度が30°に上るのは04日午前02時47分。これからというときに、降雪のため残念ながら撤収を余儀なくされた。

揖斐谷からしぶんぎ群を撮影しようとすると、最大の敵は冬型の天候。厳冬期であることはもとより、雪雲が次々と押し寄せてくるので、ほぼ絶望的でもある。気象予報を見ながら、どこで雪雲から逃れるかを見極めて移動するしかない。
今年もまた揖斐谷では撮影は叶わず、美濃平野部まで下って撮影場所を探した。
それでもまったく撮影できない年があることを考えると、まだいい方と納得する他はない。



さてこの夜、放射点が高く上る前に撮影を開始するには理由があった。
1つは気象予報によって03時頃に撮影地点が雲に覆われる予想となっていたこと。極大時の撮影は望むべくもなさそうだ。
もう1つは、しぶんぎ群の特徴にある。しぶんぎ群は放射点が低いときには流星数は少ないが、長経路の流星が見られることがある。このことを踏まえて、放射点が低い頃から撮影を始めた。果たして長経路流星が確認できるか。

撮影時はシーイングは良いとはいえず、しかも撮影地点は都市部の光害がある。とりわけ北天から東天は人工物に遮られるため、しぶんぎ群の放射点を写野におさめることはできない。やむなく、天頂から西天を狙うことになる。幸い、天頂から西天は邪魔をするものは少ない。このような撮り方では多くの群流星の撮影は期待できないだろうが、放射点からの距離があるので長経路流星の撮影は期待できた。



上に写真を2点掲げた。

23時42分の流星は放射点高度が5.45°という、大変低いものだった。しかし、ふたご座のポルックス付近から冬の大三角に突入した流星は、プロキオンをかすめてシリウス付近にまで到達する長経路流星だった。
02時14分の流星は、ぎょしゃ座近くからプレアデス星団とヒアデス星団の間へ割って入る経路の長い流星だった。
しぶんぎ群は放射点が高く上るのは朝方となるため、長時間の撮影では必然的に放射点高度が低い時間帯から撮影することになる。2022年のしぶんぎ群撮影は、雪雲の到来が予想されたため図らずも放射点が地平に上る頃から撮影することになった。極大時間帯まで撮影を継続できなかったことは残念だったが、長経路流星の出現を確かめることができたのは幸いだった。



2022年の三大流星群のうち2022ペルセ群の極大頃はほぼ満月。しかも極大時刻が夜明け後と条件はよくない。2022ふたご群は2021ふたご群が途中で月没となったのと反対に、途中から月が出るというあまりよい条件とは言えない。2023ふたご群は最良の条件となり、2024ペルセ群もいい条件が期待できるが、しかしこの先2年、3年待つのは、やはり長い。まあ他の群が突発出現することを期待するしかないか、と新年早々寂しく思う年明けだった。